6月1日 朝日新聞 DIGITAL http://www.asahi.com/articles/ASJ5Z4J8KJ5ZULBJ00K.html
ネックレスやピアス、歯の詰め物などで起きる金属アレルギーは、イオンよりサイズの大きいナノ粒子が引き起こすとみられることを、大阪大学のグループがマウスの実験で確かめた。英科学誌ネイチャーナノテクノロジー電子版に31日発表した。
金属アレルギーはニッケル、銀などで起きることが知られている。金属を身につけた際、汗などで溶け出したイオンが皮膚を通して取り込まれると考えられているが、マウス実験で金属イオンを注射してもアレルギーは起きず、仕組みの解明が課題だった。
研究グループでは、金属イオン同士が結びついて数ナノ~100ナノメートル程度の粒子として存在するとの報告があることに着目。人工的に作製した銀のナノ粒子(10ナノ~100ナノメートル)と銀イオン(1ナノメートル以下)をそれぞれマウスに注射して調べたところ、ナノ粒子を注射したマウスだけで耳の腫れがひどくなるアレルギー反応が起きた。
大阪大学薬学部の堤康央教授(毒性学)は「動物実験モデルが出来たことで、アレルギー発生の仕組みをより解明でき、新たな予防法や治療法の研究開発につながると思う」と話す。(熊井洋美)